■ 今年初めて、本日最後の (5238) (10-01-25 00:09)
志貴は寝たままの格好て視線だけをそちちらへと向ける。
そっと部屋へと入る細い人影。
予期せぬ待ち人の姿。
やはり来るよなあと、内心で呟く。
「兄さん、まだ起きていますか」
―――端的に言うと姫始めのお話です。
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志貴は寝たままの格好て視線だけをそちちらへと向ける。
そっと部屋へと入る細い人影。
予期せぬ待ち人の姿。
やはり来るよなあと、内心で呟く。
「兄さん、まだ起きていますか」
―――端的に言うと姫始めのお話です。
衛宮士郎の体は、おかしな状態にあった。
日常では何ら不具合は無いが、明らかに問題を含んでいた。
最初は疲れているのかで済んでいたが、日にちが経つにつれ、
それは恐怖と絶望とを士郎に与えた。
確実なる死の影にすら立ち向かった男の驚愕。
それは……。
桜トゥルーエンド後のお話です。
「さて、では始めましょうか」
はっきりとした落ち着いた声。よく通る澄んだ声。
それによって開幕が宣言された。
発言者は長い黒髪の少女。
目の前の存在が自分の意志に従う事を当たり前と思っている者の表情。
元旦の夜のお話です。
今年初めての……。
九月二十二日。
その日は、遠野秋葉の誕生日である。
それを間近にして、兄である遠野志貴がプレゼントの相談を始めた。
となれば、話の行き先は明らかである。
新たな目で志貴を見つめる。
つまり、何をプレゼントしたらいいのか困って、相談しに来た訳ですね。
……といった秋葉誕生日記念SS。どうにか誕生日当日に滑り込みました。
「――――本当に……そう思いますか?」
そこから先は。
「切嗣は―――貴方が夢を継いでくれるから『安心した』と言ったのだと……本当に思いますか?」
言ってはならないはずの事だった。
ある月夜の士郎とセイバーの会話。ある、視点の違い。
西奏亭への頂き物です。
キシ、キシ、と板敷きの廊下を歩く音。
ひどく小さい。音の主が音を立てないよう極力努めている、そんな歩み。
なのに、耳にはその音がはっきりと届いていた。
自然、意識は音の方へ集中する。音はゆっくりと、だが確実に近付いてくる。
と、音が止まった。
多分、すぐ近くにいる。瞼を開き、視線を向ければその姿を認めることが出来る程度に。
誰なのだろう? 今の時間によって心当たりも幅が出る。とりあえず自分に、俺に会いに来るといったら――。
月姫での淫夢イベントのFate版になります。本編にない組み合わせをお楽しみください。
西奏亭への頂き物です。
「皆で兄さんを愛する事にしました」
端的にそれだけを声にすると秋葉は口を閉じた。
先ほどと同じ慈母の如き笑みを浮かべたまま。
それなのに、志貴はぞくりとした。
秋葉の言葉を噛み砕きつつ、視線を左右に走らせる。
アルクェイドが頷いている。シエルが頷いている。
翡翠も琥珀も。レンもシオンも。
一様に、にこやかに、志貴に笑顔を向けている。
そんなお話。
「秋葉のさ、他の髪形も見てみたいなって」
「……え?」
「こうやって、自然に髪を下ろしてるのもいいけど。たまには別の髪形も見てみたいなって思ったんだ」
俺の言葉が意外だったのか、秋葉は目を丸くしてる。でもすぐにしょうがないですねと肩を竦めて、俺の腕をやんわりと解いた。
「全く……今日はどうしたんですか?」
「何でだろうな。今日はいろんな秋葉が見てみたい、そんな気分なんだ」
秋葉の誕生日という事でMARさんより西奏亭に頂いた作品です。
二人の会話とか秋葉の反応とか着眼点とか……凄く良いです。
ひとたび思い出してしまえば、容易に兄さんは私の頭の中から去ってはくれない。
当然といえば当然。
溜息をこぼす。
無理もなかった。いつも兄さんの事は私の頭の中にあるのだから。その存在が大きかったり小さかったりは変化しても。
本物の兄さんは、普段はじっとしていてくれない。かまって欲しい時にふいと姿を消してしまったりするのに。
秋葉誕生日SSです。鬱々と思い悩む思春期の少女の心を描いてみました……風
桜トゥルーエンド後日談。お酒に纏わる幾つかの出来事。
「サクラ、今日は土曜日でお休みです。まだ陽の高い内からのんびりと杯を傾ける。これが休日の醍醐味という物でしょう」
緩んだ笑顔で飄々と返す年中有休の同居人。
……加えて最近はライダーの傍らに、唾を飲み込むとらも一匹、よく見受けられる様になった。それでも流石に職業意識みたいなものは一応備えている様で、桜の居る前では要求してはこない。
居る前では。
……いつかの言葉を思い出す。
宝石の眼の彼女が曰く、サーヴァントはそのマスターに似るのだと―――
『西奏亭』様にお預かり頂いております。
唐突な言葉だった。
それなりの雰囲気を作り、共に衣服を脱ぎ捨てベッドに。
そしてさて、といったタイミングでの言葉。
志貴はアルクェイドの顔を見つめて、それからわずかに視線を下に落した。
ことさらに見ようとしなくとも眼を引き付けてやまぬ胸の膨らみ。
惚れ惚れとするようなボリューム。
しかし、アルクェイドの腕がそこを隠すように遮った。
非常にお馬鹿さんなお話です。
間桐桜にとって衛宮士郎は憧憬の対象だった。
まっすぐであり、優しく、眩しく見える存在。
士郎にとって桜は、妹の如く思っていた少女。
身近な可愛い後輩であり、守るべき人だった。
そんな二人の関係を知っている者が眼にしたら、それは異様と映っただろう。
深夜の一室で繰り広げられている、その光景。
タイトルの通りです、多分。
ダークとかのお話でないと思います、このくらいだと、多分。
間桐桜は逡巡する。
ためらう。迷う。立ち尽くす。
試されるのは己の判断力。得るもの、そして失うもの。変化の見極め。
水面への一石が、大きく広がる波紋となるように。
些細な原因が大きな結果を生む。
何度となく見たもの。悲劇的な結末。
一時の快は、後の悲嘆へと繋がっていく。
すぐに姿を現さずとも、ゆっくりと確実に。
なんだかわけのわからない話に。それほど高……ぽいし。
「くびわ……」
勢い余って言ってしまい、慌てて秋葉は口を噤んだ。
「えっ?」
驚いて、アルクェイドは聞き返す。
「……」
黙って横を向く秋葉を追いかけ、顔を覗き込んでアルクェイドは尋ねた。
「何て言ったの? 今」
「何でもありませんっ」
西奏亭への頂き物です。凄いな、志貴というお話。
「チョコを渡したわたしがいうのもなんだけどさ、大変ねぇ」ティーカップやポットに、予熱のためのお湯を注ぎながら、凛が笑う。
「遠坂みたいに、準備万端整えてるわけじゃないからな」
「どういう事?」と、凛は小首を傾げた。士郎の言い方だと、どう考えても、自分もホワイトデーの準備をしていなければならない事になる。
士郎と桜が、びっくりして顔を見あわせた。
「あの、姉さん、まさか何も準備していないんですか」
士郎と桜以外は、話の流れがつかめずに、けげんな表情をしている。
「だから、なんでわたしがホワイトデーの準備しなくちゃいけないのよ?」
多数キャラ登場の力作です。西奏亭への頂き物です。
桜トゥルーエンド閑話。
ライダーさんがおうさまを駆ったり、おうさまに駆られたり。
この国の冬はとみに寒い。陽が香る布団の抱擁は、確かに離れ難く魅力的なものではあったけど。
それでもやはり、日がな一日炬燵を駆るライダーなど、他に居はしないだろう。
……これがむしろ、私の堕落にその因を見出せるのなら、話は簡単だったのだけど。
夢を見る。
それは昏い暗い杯の下で。
遥か上から零れる淡い光に照らされた、黒の少女の夢―――
『西奏亭』様にお預かり頂いております。
タイトルで内容をご推察ください。
本家本元のSyunsukeさんの許可は取ってあります。
登場人物は基本的に『空の境界』からです。
式、鮮花、藤乃、橙子、黄路、霧絵、売人のお姉さんプラス1の計8名です。
黄色く染まった世界をご堪能ください。
※解答編を追記しました。
西奏亭への贈り物です。
長く伸びた光の筋は、鏡に曲げられ閉じこめられて、幾重にも重なり世界を作る。
とても、幻想的な光景。
息を呑んで、だけど心躍らせて、その世界に引き込まれていく。
そんなふうにみとれていたのに、兄さんは疲れた声で水を差す。
「それでいいのか?」
なんて、愚鈍。
のちさんから西奏亭への頂き物です。短かくも秋葉と志貴の姿がよいです。
秋葉の薄い瞼が下りる。それを見届けてから、ゆっくりと顔を近づけていく。
軽く震えた睫毛は、目を開きたがっている表れだろうか。それとも、どうして
もこうなってしまうものなのだろうか。
まだ、解らないことは色々ある。相手の解らない所は沢山あるんだから、そ
れを減らすために、こうしているのかもしれない。
考え事をしている間に、顔と顔との距離は埋まっていく。
秋月さんから西奏亭への頂き物です。
志貴と秋葉のしっとりとしたやり取りが何とも言えません。
絵の無い四コママンガ風コント?の「天抜き」を
眼鏡、お風呂を小道具にして書いたものです。全41本。
書き手の方、のちさん、Syunsukeさん、KTさん、ユウヒツさん、
MARさん、てぃーげるさん、しにを。
ちょっと大人向け方向に舵が向いている気がしますが、お楽しみください。
もとはるさん、White Snowさん、うづきじんさん、のちさん、Syunsukeさんから追加を頂き、
新たに書いて、倍増の全91本になりました。
「ばれんたいん、ですか?」
朝食を終えた衛宮邸の厨房には二つの人影があった。一方は細やかで美しい金髪を一つに纏めた少女。もう一人は艶やかな黒髪を二房に纏め、背中まで伸ばした少女。ちなみに家主である少年は、生徒会の手伝いで早々に登校していた。
凛が投げかけた話題に、セイバーが小首を傾げる。
西奏亭への頂き物。
10=8さんの寸劇のバレンタインねたです。お楽しみください。
まだ日の落ちぬ午後のひと時。
部屋の中には俺と、メイド服姿の翡翠のみ。
仕事の終わった夜ではなく、仕事中。まだ翡翠は働いている最中だった。
その翡翠がベッドの上にいる。そして、
志貴と翡翠とのちょっとした行為。
変な仕掛けのあるお話です。
多分18禁じゃないと思います。
White Snowさんからの天抜き(「絵の無い4コマ漫画」というかショートコントというか、そういったモノ)の頂き物です。
今回は「天抜き・お誕生日と題しての、誕生日をテーマの15本。
誕生祝として頂きました……。
テーマを料理しての色々な味わいをお楽しみください。
西奏亭への頂き物です。
味の感想を言えないことに、思わず吐息がまた落ちる。そういえば朝食、昼食の味もよく解らなかった。別に、毎日味の感想を言っているわけではないが、それでも申し訳ない気持ちになる。
琥珀は落ち着かない自分を気遣ってくれているというのに、自分ときたら―――
「ごめんなさいね、琥珀。心配かけさせて」
「いえいえ……仕方が無いですよ。だって、志貴さんが帰ってくるんですから」
「…………そうね」
「秋葉様、ちゃんと志貴さんと逢うんですよ」
まるで幼子に言い聞かせる母親みたいに、琥珀。
「何よ、その釘の指し方」
秋葉と志貴との再会の物語。秋葉の心情が良いです。西奏亭への頂き物。
黄昏が宵闇にかわる時間、茜と群青が混じり合う空の下、私は兄さんと家路についた。
はじめてこうして二人で歩いた日は、もう既に思い出として整理され始める頃であり、そこを振り返ってみると私はずいぶんとぎくしゃくしていたと思う。
道案内するみたいく先導するのか、控え目に後ろにつくのか、それとも横にいた方が良いのか、右か左か、くっついていると妹らしくないか、離れすぎるのはもっと変ではないかと、何でもないふうを装っても、一挙手一投足に色々と考え込んで、ただ一緒に歩くのが私には簡単にできなかった。
志貴の言葉を気にする秋葉。そして部屋で……。
西奏亭への頂き物です。