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バレンタインもの
(9340)
(04-02-14 18:37)
厨房には何やらボールや金属の型入れ、へらなどが散乱してあり、その至る
所から、微香をくすぐる匂いが鼻腔を緩やかに刺激する。
散らばった道具、むせ返ると表現してもよい匂い。
それだけで、そこは戦場であったと彼女は確信する。
時代や様相、規模などは違えど、その本質は何かが戦った跡――あの茜色の
荒野に近い感慨を感じさせていた。
「……ふむ」
とりあえず、一つ頷く。
やはり考えることは自分と同じであったか、と彼女は納得。
西奏亭に頂きましたバレンタインデーSSです。
凛グッド後ではありますが、士郎×セイバー派のお方の作品故に……。
お楽しみください。
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バレンタイン寸劇
(7689)
(05-02-15 01:17)
「ばれんたいん、ですか?」
朝食を終えた衛宮邸の厨房には二つの人影があった。一方は細やかで美しい金髪を一つに纏めた少女。もう一人は艶やかな黒髪を二房に纏め、背中まで伸ばした少女。ちなみに家主である少年は、生徒会の手伝いで早々に登校していた。
凛が投げかけた話題に、セイバーが小首を傾げる。
西奏亭への頂き物。
10=8さんの寸劇のバレンタインねたです。お楽しみください。
「ちょっ、志貴っ。突然、早くしないでってば」
「遅れてもしらないぞ」
向かう先は、三咲町からは少し離れた地方にある寺社であり、そ
こで新年を迎えようと二人で出かけているのであった。もっとも、
二人だけなのは道中のみで、向こうにはすでに秋葉らが待機してい
ると聞く。
秘密にしていたはずなのに抜け目が無い。志貴はそう思っている
ようだったが、実際には彼の嘘が彼女らにとって嘘と思えないくら
いにお粗末なものだったにすぎない、そんな事実。
と言う事で、10=8 01さんから頂いたお正月らしい作品です。
志貴達が出会う、ちょっと異質な二人組、そして思いがけぬ展開。
お楽しみください。
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暑中見舞い
(3709)
(04-08-04 06:38)
「しっかりしてください、兄さん。もっと遠野家の長男としての自覚をですね……」
「むう……暑いから仕方ないだろ」
「またそれですか―――確かに暑いです。ですが、空調が直るまでの辛抱でしょう」
遠野邸の空調に異常が確認されたのは今朝のことであった。常に心地よい涼しさに満たされていた屋敷であったが、今では外の庭園で風を浴びていた方がまだマシだというくらい。
とはいっても、外も暑いということには大差が無い。
西奏亭への頂き物、タイトル通りの暑中見舞いです。
内容と直接タイトルが関係なかったり。
秋葉が実に上手く描かれています。堪能してください。
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Anemone
(7334)
(04-03-31 06:22)
そこで、ようやく思い出す。
彼女の存在を。
忘れるはずもない。自分にとって、彼女がどれほど特別なのか語りきれない
ほどに、大きなものとして存在している。
ゆったりとした足どりで寄ってくる彼女。
改めて彼女へと向き直り、そっと微笑みながら頬を撫でるように手を伸ばす。
「――――セイバー」
だが。
穏やかな声とは裏腹に、指先はそっと彼女の身体をすり抜け、そのまま彼の
身体を文字通り通り抜けていった。
まるで、夢か幻のごとく。
西奏亭への頂き物(というか、強引に頂いて……)作品です。
アーチャーとセイバーの再会のお話。
独特の設定を綺麗に描かれています。
特に何をするでもなく、空を仰ぎ眺める。
普段は当たり前すぎて気がつかないが、意識してみると驚くほどに心奪われ
る蒼。
風の証か、帯を引いていた雲がゆっくりとだが流れてゆく。
何となく吐息。
僅かに漏れた息は、周囲の喧騒に飲み込まれていくように掻き消される。吐
息を飲み込んだ喧騒は、煩いというよりもどこか高揚しているような熱気を感
じさせた。
まあ、学園祭だしね。
さる大学の学園祭でのバンドのライブへ出かける蒼香。
待ち人来たらずの間に、背中越しに会話をした相手は……。
10=8 01さんより、西奏亭への寄贈SSです。
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Rain Song
(4162)
(04-11-02 02:54)
「買い物っていうかさ、ただ歩き回ってるだけでも楽しいんだぞ。十分に時間をつぶせるさ」
「そうですか――では私もそうします」
「えっ、ついてくるの?」
「あの、お嫌ですか?」
「い、いや、もちろん嫌じゃないさ。でも、大したところを回るわけじゃないぞ?」
「構いません、兄さんと一緒なら」
「秋葉様、ナイスな恥じらい顔です」
会話のみで形成された秋葉と志貴の休日。
heatseekerさんから西奏亭への頂き物です。
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天抜き・死徒風味
(1482)
(03-07-17 00:12)
hitoroさん、権兵衛党さん、秋月 修二さんの実力三人の「天抜き」競作。
タイトル通り、死徒を題材にしていて、その数27。
そして……?
多彩な味わいをお楽しみ下さい。
作者名はいちばん多く書かれたhitoroさんで登録いたしました。
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ぬばたまの――
(9218)
(05-09-23 08:15)
「秋葉のさ、他の髪形も見てみたいなって」
「……え?」
「こうやって、自然に髪を下ろしてるのもいいけど。たまには別の髪形も見てみたいなって思ったんだ」
俺の言葉が意外だったのか、秋葉は目を丸くしてる。でもすぐにしょうがないですねと肩を竦めて、俺の腕をやんわりと解いた。
「全く……今日はどうしたんですか?」
「何でだろうな。今日はいろんな秋葉が見てみたい、そんな気分なんだ」
秋葉の誕生日という事でMARさんより西奏亭に頂いた作品です。
二人の会話とか秋葉の反応とか着眼点とか……凄く良いです。
Syunsukeさんからの頂き物の連作天抜きです。
いろんな女性向の小道具を題材に、志貴と秋葉の甘やかな様子を描いています。
全27編をお楽しみ下さい。
おまけを追加。ASHさんの漫画ともリンク貼っています。可愛いです。
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愛玩夜想
(10562)
(05-06-14 00:35)
「くびわ……」
勢い余って言ってしまい、慌てて秋葉は口を噤んだ。
「えっ?」
驚いて、アルクェイドは聞き返す。
「……」
黙って横を向く秋葉を追いかけ、顔を覗き込んでアルクェイドは尋ねた。
「何て言ったの? 今」
「何でもありませんっ」
西奏亭への頂き物です。凄いな、志貴というお話。
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〜好きということ〜
(1321)
(02-12-24 00:45)
何度、このやりとりをしたのだろう。
今日は、聖なる夜。クリスマス。
私は志貴くんの隣にいる。
多分、中学校に居た頃の私からは想像も出来ないだろう。
そして、今日は二人で過ごす夜。
TAMAKIさんから西奏亭への寄贈作品です。
クリスマスの日のさつきと志貴の情景。
幸せそうなさつきに心動かされる方にお勧めします。
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私が・・・
(709)
(02-05-19 17:11)
シエルEND後。
平穏な日常の中、それでもシエルは昏い想いを抱く。
そしてそれを志貴は……。
シエルの心情を描いた作品です、ギャグキャラでないシエルも
良いですよ。 寄贈作品としていただきました(from西奏亭)
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翡翠色の化石
(1809)
(02-10-07 17:15)
秋葉と琥珀を喪い、二人で暮らす志貴と翡翠。
弱り衰えている志貴、志貴の世話をする翡翠。
そんな日々の果てにやがて訪れるのは……。
翡翠エンドの後を描かれた作品です。
同テーマで書かれた「翡翠色の翼」と対になります。
一周年記念として、西奏亭に寄贈いただきました。
*タイトルを間違えていたので訂正いたしました。
TAMAKIさんには心よりお詫び申し上げます(しにを)
「Fate」キャラ全般(一部他作品キャラ含む)による、天抜き連作です。
いろいろ多彩な作風、はっちゃぶりも素敵です。
ネタバレいろいろですので、完クリ後に堪能ください。
今回は第7弾を公開。
50本。ゆっくりお楽しみください。
西奏亭への頂きモノ、暑中見舞いとして贈られました
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『天抜き』 〜ワセ柿〜
(2767)
(04-11-13 23:48)
秋らしい風物などに材をとっての天抜き40本強。
(ショートコントというか、絵のないマンガというか、そういう形式の集まりです)
月姫、空の境界、Fateとキャラも豊富です。
お楽しみください。
西奏亭への頂き物です。
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天抜き 『城』
(3484)
(04-11-27 06:16)
某ジブリの映画公開記念という事で、城をテーマでの天抜き26本。
(絵のない4コママンガ、コント形式)
バラエティに富んだキャラ達のやり取りをお楽しみください。
西奏亭への頂き物です。
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天抜き・WS
(7191)
(05-05-06 23:10)
White Snowさんからの天抜き(「絵の無い4コマ漫画」というかショートコントというか、そういったモノ)の頂き物です。
今回は「天抜き・お誕生日と題しての、誕生日をテーマの15本。
誕生祝として頂きました……。
テーマを料理しての色々な味わいをお楽しみください。
西奏亭への頂き物です。
「チョコを渡したわたしがいうのもなんだけどさ、大変ねぇ」ティーカップやポットに、予熱のためのお湯を注ぎながら、凛が笑う。
「遠坂みたいに、準備万端整えてるわけじゃないからな」
「どういう事?」と、凛は小首を傾げた。士郎の言い方だと、どう考えても、自分もホワイトデーの準備をしていなければならない事になる。
士郎と桜が、びっくりして顔を見あわせた。
「あの、姉さん、まさか何も準備していないんですか」
士郎と桜以外は、話の流れがつかめずに、けげんな表情をしている。
「だから、なんでわたしがホワイトデーの準備しなくちゃいけないのよ?」
多数キャラ登場の力作です。西奏亭への頂き物です。
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りずせら
(10560)
(04-05-07 08:17)
セイバーエンド後日談。
時に同じくして想いは暴走する、という話。
「私たちは人間じゃない。軽々しく人の街に降りて行って、もし何かあったら」
「……イリヤにせがまれて、ケーキ買わせに行かせた癖に」
「セラ。イリヤの為」
まほうの呪文を唱える。
『―――だから。理想は理想として、それとは別に。現実に伴侶がいても良いと思うの』
『あ、シロウが望むのなら逆でも良いよ。私が人形になってあげる。可愛がってくれるのならね』
―――ようこそ。エミヤシロウ。
※こちらの投稿掲示版に掲載されていたものを見直し頂いた上で、西奏亭に
転載致しております(うづきじんさんの部屋に掲載)
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不器用な姉
(12715)
(04-05-24 01:29)
桜トゥルーエンド閑話。アンリ・マユ以後、蒼崎橙子以前。
眠りは浅かったのか、むずがる様な声を少女が上げる。
慌てて手を離し。その睫毛が震え、ゆっくりと眼を開いて。
「―――あ。おはよう、ライダー」
「―――おはようございます、士郎」
まだどこかぼんやりとした、寝起きの少女に挨拶を返した。
その、心細げな涙目は妙に保護欲を刺激する。気付かれぬ様、僅かに抱きしめる力を込める。
暖かく、柔らかな感触が彩度を増した。
―――役得と、言うのだろうか。こういうのも。
加筆修正の上、『西奏亭』様にお預かり頂いております。
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千鳥を踏んで
(6605)
(05-09-06 05:40)
桜トゥルーエンド後日談。お酒に纏わる幾つかの出来事。
「サクラ、今日は土曜日でお休みです。まだ陽の高い内からのんびりと杯を傾ける。これが休日の醍醐味という物でしょう」
緩んだ笑顔で飄々と返す年中有休の同居人。
……加えて最近はライダーの傍らに、唾を飲み込むとらも一匹、よく見受けられる様になった。それでも流石に職業意識みたいなものは一応備えている様で、桜の居る前では要求してはこない。
居る前では。
……いつかの言葉を思い出す。
宝石の眼の彼女が曰く、サーヴァントはそのマスターに似るのだと―――
『西奏亭』様にお預かり頂いております。
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小春の日和、甘苦し
(7783)
(04-05-13 01:36)
セイバーエンド後日談。
(『スウィートビター・メイプルシロップ』改題)
その日少女は、街往く中で珍しいものを目に留めた。
「……甘いもの、嫌いって言ってたけど」
指先に付いた餡子を舐め取る。あれから仲良く二匹づつ、袋の中身を片付けて。
「気に入ってもらえて、良かった」
にやにやと―――自覚はしてるが、抑えられなかった―――彼女を見やる。熱いお茶缶を握り締め、恥ずかしそうに俯く彼女。
クール・ビューティーな外人さんが、三口で鯛焼きを片付ける姿と言うのも。中々見れない、観物だった。
「……その。美味しかったもので」
加筆修正の上、『西奏亭』様にお預かり頂いております。
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慎ましやかに桜呼ぶ
(10034)
(04-05-07 08:16)
桜トゥルーエンド異聞。
マテリアル以外に救いの無い、彼の物語。
「……やあ、久しぶりだね。ライダー」
高いだけでひ弱な体躯。涼し気に見えて卑屈な眼。器用にも増長と劣等感とを混合させた、その口調。
頭の先から爪の先まで、一から十まで気に障る。
「お久しぶりです、シンジ。覚悟は良いですか」
これだけ大きい屋敷なら、きっと悲鳴は漏れないだろう。
「ちょ、ちょっと待」
取り敢えず。死なない程度に、自慢のすかし面を一発殴りつけてみた。
※こちらの投稿掲示版に掲載されていたものを見直し頂いた上で、西奏亭に
転載致しております(うづきじんさんの部屋に掲載)
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手を合わせて
(3851)
(05-05-06 23:35)
桜トゥルーエンド閑話。
ライダーさんがおうさまを駆ったり、おうさまに駆られたり。
この国の冬はとみに寒い。陽が香る布団の抱擁は、確かに離れ難く魅力的なものではあったけど。
それでもやはり、日がな一日炬燵を駆るライダーなど、他に居はしないだろう。
……これがむしろ、私の堕落にその因を見出せるのなら、話は簡単だったのだけど。
夢を見る。
それは昏い暗い杯の下で。
遥か上から零れる淡い光に照らされた、黒の少女の夢―――
『西奏亭』様にお預かり頂いております。