■ 咲きし乱れし恋心 (2975) (10-02-26 23:15)
「両儀、式」
名前を呼ぶ。式は何も発さずじっとこちらを見つめたままだ。
「―――わたしの負けよ。認めるわ」
本編終了から一年後くらいの鮮花と式。未来福音のネタバレご注意下さい。
Gallary⇒TYPE-MOON⇒Short Storyからご覧いただけます。
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「両儀、式」
名前を呼ぶ。式は何も発さずじっとこちらを見つめたままだ。
「―――わたしの負けよ。認めるわ」
本編終了から一年後くらいの鮮花と式。未来福音のネタバレご注意下さい。
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今日の雨は、ひどく冷たい。
寒暖に耐性のある身体から、それでも体温が奪われていくのがわかる。ぶるっと肩が震えて走った。
早く帰って、シャワーを浴びて、濡れた着物を着替えてしまいたい。
いや、そうすればいいのに、何故か式はぴたりと脚を止めてしまった。
……思えば、追憶のなかにある風景はいつも雨だったような気がする。
雨の日に待ちぼうけ猫の話。ほのぼの。
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「……つまらない」
膨れて言ってみせるけど、返事をしてくれる人はいない。
それが尚更つまらなくてベッドから半身を起こす。
明日新年を迎えるというこの記念日に、わたしはよりによって風邪を引いてしまい、数日前から寝込んでいた。
11年後の両儀家ほのぼの。未来福音のネタバレご注意下さい。
そして季節感完全無視なのはご容赦下さい。
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指し示す天気は快晴。
これだけの天気に恵まれた夏日ならもっと人の黒山に溢れ返っていてもよさそうなものを、熱く焼けた砂浜に影を作るのは自分達二人のものだけだった。
「……才能っていうより、一種の呪いなんじゃないのか。お前の特技」
「何か言った? 式」
ギリギリ季節ネタ、ほのぼの式と幹也。短めです。
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「………また、ダメだった…」
がっくりと肩を落として、バゼットは小春日和の公園のベンチに座っていた。
その手には丸められた求人情報誌と履歴書(無論詐称済み)の入った茶封筒。
何度目かになる就職試験に挑んだ結果、黒星記録を見事更新した帰り道だった。
後日談後のランバゼほのぼの。かなり季節外れなのはご容赦を。
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全く。こんなに散らかった部屋じゃ落ち着いて眠ることも出来やしない。たすきを手にとり裾を捲り上げて、流しに向かう。
「まったく、どうしようもないヤツ」
…やっぱり返答がないことに、室内に響く足音がひとつしかないことに、やけに大きく聞こえる時計の音に、少しだけ苛立ちが混じっているのは――きっと気のせいに違いない。
ほのぼののような、甘々のような式と幹也。
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