□ オーバー (1011) (05-01-13 23:05)
冬の道を散歩するイリヤが遭遇したもの。
終わりと始まりを思う話。
〜
わたしは猫が嫌いだ。
嫌いなものに理由はないし、好きになるための努力なんてしない。
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冬の道を散歩するイリヤが遭遇したもの。
終わりと始まりを思う話。
〜
わたしは猫が嫌いだ。
嫌いなものに理由はないし、好きになるための努力なんてしない。
ある冬、レンと過ごすわずかな時間。
その中で彼が思うこと。
〜
その日は雪が降っていた。このあたりでは珍しく、かなり積もるだろうと思わせるほどに深々と落ちてくる。
俺はただそれを眺めているだけで、子どものように外を走り回ったりはしない。
九月。聖杯戦争から半年の月日が経ち、衛宮士郎は彼岸の月を見上げる。
思い返すのはもう既にいなくなった誰かのこと。
――
セイバールート後の士郎。
凛とキャッチボールします。
UBWルート後ではありません。
あの事件は誰によって成されたものだったのか。
その仮定と結果。
〜
仰いだ空は山頂で見たものより若干遠いが、さほど大差ない距離にある。宝石をばらまいた――とよく言うが、そのような豪奢なものに縁の無い彼には実感しがたい。しかし、美しいことは認めよう。確かに今宵の空は澄んでいる。
そのくせ、彼が立っている場所に立ち込めるのはむせ返るほどに甘い香り。
セイバールートのアーチャー。
赤い騎士は屋根の上で思い、少年を見る。
〜
独り言2
ぼんやりと、薄く翳る空を眺める。
冷たかった空気は次第に温かみを取り戻し、冬の名残りを一気呵成に締め出そうとしている。
その恩恵を日光というカタチで与っている俺――衛宮士郎は相も変わらず生きており、その日常は平和そのものだ。
[本文より]
セイバールート後、衛宮士郎が過ごす日常のひとつ。
――桜が咲いた。
一年が過ぎ、今のわたしは暇をもてあましている。
桜ちゃんは今も士郎の家に住んでいる。
きっと、これからもずっと。
[本文より]
桜ルート・ノーマルエンドの藤ねえ視点。
しばらく、視線を宙に泳がせる。薄曇りの空は、今にも泣き出しそうで。
雨が降ったら――野球はどうなるのか、なんて。
「ああ、もう……!」
疲れる。考えなくてもいいことを考えるのは疲れるし、時間の無駄だと思うのに。
――考えてしまう。
そして……そんなわたしに、問い掛けるひとつの声があった。
(本文より)
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河川敷は河川敷であるから広く、空が晴れているからこそ雨は降っていない。
地面は乾いているから走りやすい、風か止んでいるからこそボールを投げやすい。
……つまり、何が言いたいのかというと。
「――士郎ー。野球教えてくんなーい?」
とかいう、某タイガー教師が言い放った一言により、野球を教えてやることに相成ったのだった。
[本文より]
ある日、セイバーが言った。
「シロウ。野球の試合をしましょう」
と――。
(本文より)