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慕姉弟記宇受売章
(5225)
(04-01-24 00:36)
ごく自然に唇の端がクスリと、笑みの形に吊り上がった。
軽やかに舞い続けながらそっと胸元に手をやり、シャツのボタンを一つはず
す。
襟元から覗く肌の白さが、面積を増す。
思ったとおりに視線が胸元に集中するのが分かる。
―― ああ、とても、心地よい。ゾクゾクするほどに。
ゆるやかに、しなやかに有間の目の前で踊り続ける。
その眼があたしを捕らえて離さない。
西奏亭の100万ヒット記念に権兵衛党さんから頂きました。
乾家での一子と志貴。アルコールの力が、二人の顕在化していなか
った姿を露わにしていき……。悶絶させられました。
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虹色の思いを込めて
(1317)
(03-01-22 00:51)
私の目指すものは『美味』、共に進むは我が『城』にして『戦場』
機動屋台『中華飯店マーク?』
それが私の『城』にして『戦場』の名前である。
私はこの道の求道者として、また一屋台の店主として、美味いラーメンを
作ること、客に美味いラーメンを食べさせることを生き甲斐としていた。
屋台には色々な客が来る。
30万HIT記念として、西奏亭へ頂いた作品です。
そう、いろんなお客が来るのです。
母娘、父娘、学校の先輩と後輩、不倶戴天の二人等々。
そして、彼女達の会話に出てくる、ある男……。
だから、まだ私の中に痛みが残っているんだ。
――――私の中の傷が、決着を望んでいる。
「――――だから」
だからもう一度、あと一度だけ人を殺めよう。
そうすれば、きっとこの胸の濁りも消える。
……ごめんなさい、先輩。
藤乃は、やっぱり貴方に顔向けができそうにありません。
藤乃のもとへ届いた手紙。
それは彼女に、思い出させる。
―――痛みを。
そして彼女が出会った相手とは……。
狂人(クルートー)さんから西奏亭への頂き物です。
私に開いた穴を、幹也が埋めてくれた。
あいつといると、満たされた。
だから――幹也を疑えば、そんな幸福たちまでが泡沫に消えてしまいそうで。
会いたいと強く願いながら、決して会おうとしない矛盾を、私はもう一週間も繰り返している。
西奏亭への頂き物、四話構成の長編です。
式と幹也の関係の揺らぎ、そして……。
式幹の関係が好きな方には少し辛い場面もあるかもしれませんが、読み始めたなら、最後まで読んで貰いたい作品です。
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窓際の夢
(1201)
(02-11-16 04:57)
ここは幼い頃、私が届かない世界を眺めた窓だ。明るい光に
満ちた世界。その中で笑い合う、私と同じくらいの年頃の子供
たちを眺めた、そんな閉じた窓。
窓際に立つ琥珀は何を思うのか?
独白形式で描いた作品で、秋月さんより西奏亭に頂きました。
薬とか、悪戯とか、あは〜だけではない、琥珀さんが好きな方はぜひ。
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天抜き/?/!
(1658)
(03-12-15 00:23)
世界一短い「天抜き」50編です。
どのくらい短いかは、中身をご参照ください。
参加者:秋月 修二さん、のちさん、Syunsukeさん、古守久万さん
MARさん、倦怠感さん、しにを です。
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Near/Miss
(2124)
(04-01-24 00:29)
適当に引っ掴むと、俺はイチゴさんのいる居間まで戻った。お茶ではまだ温ま
らないのか、寒そうに時折身震いをしている。
「はい、どうぞ。風邪引きますよ、着替えてきたらどうです?」
「今朝洗濯したばっかりだ。まだ乾いてない」
それは流石にどうしようもない。俺は黙ってタオルを手渡した。そうして席
に着こうとしたのだが、イチゴさんはそれを軽い調子で止めた。
「んー、そうだな、ついでだ。有間、髪の毛も拭いてくれないか。あたしは黙
って、お茶で温まってるから」
西奏亭の100万ヒット記念に秋月さんより頂きました。
雨の日の乾家での束の間の情景。志貴と一子の微妙な関係を見事に
描かれておられます。
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六時三十二分の恋人
(17943)
(04-07-05 06:07)
私はというと、今日は早速シロウの所にお邪魔すると決めていた。昨晩の飲み会で、凛が零した愚痴を確かめてみたかったからである。
曰く、
『拘らないのなら、最初からあんなこと言わなくたって良いじゃない』
『わたしだって、心の準備ってものは必要なのに』
『ああもう、士郎の馬鹿っ』
ということだった。触れるなと言いつつも、ある程度は喋らないと、気が済まなかったのかもしれない。
凛と士郎との行き違い、それを心配するセイバー。そして……。
実力派の秋月さんの作品お楽しみください。(西奏亭への頂き物です)
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十月十日のその前に
(5466)
(05-03-29 00:40)
秋葉の薄い瞼が下りる。それを見届けてから、ゆっくりと顔を近づけていく。
軽く震えた睫毛は、目を開きたがっている表れだろうか。それとも、どうして
もこうなってしまうものなのだろうか。
まだ、解らないことは色々ある。相手の解らない所は沢山あるんだから、そ
れを減らすために、こうしているのかもしれない。
考え事をしている間に、顔と顔との距離は埋まっていく。
秋月さんから西奏亭への頂き物です。
志貴と秋葉のしっとりとしたやり取りが何とも言えません。
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雨と泥
(1566)
(04-11-02 01:18)
雨脚が強い、昼というのに薄暗い日和だった。屋敷を出ると、泥が跳ねることも構わず、
志貴は足早に木々の中を駆けて行く。時間を惜しんでいるという訳ではない。ただ、傘を
差していないので、反射的にそうしてしまうのだろう。
さるエンド後の志貴と秋葉の姿。
短くも非常に鮮烈に描いています。
秋月さんから西奏亭への頂き物です
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すれ違い
(1582)
(03-07-19 00:13)
ドアを開け、長椅子に座る。
肘掛の所が少し凹んでいる。床に長い傷が一本ある。どちらも、俺がやらか
したもの。
ここに来るようになって随分経ったし、何度もここで歓談を楽しんだりもし
ている。だからこそ、長い時間を過ごしていれば、ミスをすることもある。
そして、ミスが出来るくらいには、ここに馴染んでいる自分がいる。
そんな場所で、俺は朱鷺恵さんを待つ。
少し昔の志貴と朱鷺恵の情景。
雰囲気があります。
秋月さんから西奏亭への頂き物です。
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人想い一思いする重さ
(1153)
(03-05-13 01:16)
「なあ……姉ちゃん」
「ん?」
「どうして、あそこに来たんだ?」
解らないなら、本人に確かめればいい。割と素直にその考えに行き着く。姉
ちゃんはどう答えたものか考えているのか、少々間を置く。
俺は湯船で体を強張らせて、耳を澄ましている。
答えは唐突に来た。
「何となく」
秋月 修二さんより西奏亭の50万HIT記念に頂きました。
少し昔の一子、そして有彦……、乾家の二人の情景を描いています。
雰囲気ある素敵な作品です。
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時重ね
(990)
(03-06-17 00:14)
素知らぬフリで私はカウントを続ける。
誰も知らないことだ。何故なら、知る必要すらないことだから。
自分勝手に作り上げた、私だけのルール。
達することが目的でもない、幼過ぎる戯れ。
一、二、三、四、五。
飽きもせず、何度も繰り返し数を重ねる。連ねる。織り上げる。
いつしかそれは高みへと。
最後にすべき数は心得ている。
だからそれまでに、何かしらの決着が欲しい。
秋月さんより西奏亭への寄贈SSで、前に頂いた「人想い一思いする重さ」に
連なるお話になっています。併せてぜひお読みください。
ここ、三咲町では少し前まで、殺人鬼の噂が蔓延していた。
実際には、その殺人鬼はもはや現れることはない。
再来したと言われるそれも、すでに事件は解決した後。
噂は噂のままで終わり、街にはなんの被害もなく、ただ静かに夏は過ぎ去っていくはずだった。
――ところが、だ。
「MELTY BLOOD」と「Re・Act」をつなぐお話で、最初の登場人物、さつきのいる理由などが面白い設定になっています。
西奏亭への贈り物です。
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全男子渇望のイベント2
(14048)
(04-06-07 04:29)
――この風は、どこから流れてきたのだろう。
疑問に思って枕元を見上げる。
部屋の灯りは落ちていて、あたりは暗く沈んでいた。
けれどその中で、まるで浮かび上がるように、小さな影が一つ。
そこには闇の中に溶け込む様な、白い少女の姿があった。
月姫での淫夢イベントのFate版になります。
権兵衛党さんの藤ねえに続き、今度はイリヤ弄ばれ。
西奏亭への頂き物です。
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羽と猫
(3713)
(03-04-27 00:16)
「ん、よろしくね」
ニコニコと笑いあう二人。
ひとしきり手を握り合うと、どちらからともなくその手を離す。
「――じゃ、行こっか」
「……?」
唐突に言い出したあるくぇいどに、
羽居は今度は疑問で首を傾げた。
そんな彼女に、アルクェイドは告げる。
「志貴を探しに。
……手伝って、くれるでしょ?」
異色の取り合わせの二人の物語です。
何故か人気の無い夜の遠野家を探索する羽居とアルクェイド。
荒田 影さんより西奏亭への寄贈作品です。
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しまっていこう
(3770)
(02-10-01 22:36)
義妹やメイドはもちろん、小学生、友達の姉さんなどにまで粉を
かけまくる男、遠野志貴。
しかし、向こうから迫ってくると言うのに手を出さない存在が。
それを疑問に思った秋葉達は……。
15万HIT記念という事で、西奏亭に寄稿頂きました。
ストーリー、細かなくすぐり、個性ってこういうのを言うのだなと
感嘆させられる作品です。ぜひご堪能ください。
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根も葉もない噂
(4008)
(02-10-06 23:20)
「根も葉もない噂を立てようと思います」
そんな、なにげない琥珀さんの言葉。
特に気にせず登校した志貴と秋葉。
しかし、そこには既に……。
西紀さんより西奏亭に寄贈いただいたモノですが……。
ぜひ、お読みください。凄いですよ。
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とおのをつぐもの
(2600)
(03-05-17 00:22)
「兄さん?考えたことがありますか?」
遠野秋葉は微かに微笑んでそう尋ねる。長い黒髪が垂らし、その人形のよう
に美しくも、どこか凛々しいところのある美貌がふっと柔らかくなり、硬い冬
の蕾が春に萌え出してきたかのような感じを受ける。
ティーソーサーを手に取り、静かに紅茶を飲みながらもその口元が笑みを形
作っていた。
阿羅本さんより、西奏亭50万HITのお祝いに頂きました。
秋葉の問いとは?
日常にぽかりと開いた穴といった味わいのお話です。
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喩え夢でも
(729)
(02-05-05 21:03)
阿羅本さん寄贈作品です。
放課後の一時、シエル先輩と志貴の……。
「シエル主役でギャグでなくてしっとり系のお話」というリクエストに
見事に応えて頂きました。
シエル派の方もそれ以外の方もどうぞ。
カレーとお尻を取ったら何も残らないという蒙昧な通念を以下略。
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正妻・愛人・三号さん
(3102)
(02-02-18 12:02)
しにをさんの『西奏亭』さんへの寄稿作品です。
黒猫レンに餌をやる琥珀、その背中を見ていた志貴は……やはり、一服盛らないと琥珀さんの名が泣きます(笑)
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男の甲斐性
(7746)
(02-07-11 06:13)
とある理由から、時南医院へ連れて行けと志貴にせがむ一子。
仕方なしと同意する志貴。
しかし、そこには目的の宗玄は不在で、いたのは娘の……。
あとは読んでみてください。
悶絶する事受けあいです。
一子さん好きも朱鷺恵さんファンも満足すると思います。
この修羅場の楽しい事……。 (from西奏亭)
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責任重大な
(7759)
(04-01-30 00:16)
……取りあえず起きよう。それから……
「いてっ!」
俺は手に何かをぶつけて引っ込めた。伸びをしようとして伸ばした手がびし
ゃっとぶつかって……
え?と言うことはだれかがベッドの中にいるの?誰?アルクェイド?シエル
先輩?……というか、回りに見覚えがないのはそりゃ、アルクェイドや先輩の
家なら当然のことだから、何をそそっかしく暴れているんだか、俺。
目覚めた処で志貴の見たものは……。
阿羅本さんより西奏亭100万ヒット記念に頂きました。
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週休二日
(2563)
(02-10-08 23:18)
シエルEND後の日常。
茶道室でシエルと二人の時を持っていた志貴は、甘い睦言を……。
ではなくて、詰問を受けていた。
「正直に答えて下さいね、嘘をついても分かりますから」
その背筋が冷たくなる質問とは……。
ああ、もう、身悶えするような修羅場が堪りません。
*寄贈作品として西奏亭に頂きました。
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再逢瀬
(4270)
(04-12-24 03:09)
味の感想を言えないことに、思わず吐息がまた落ちる。そういえば朝食、昼食の味もよく解らなかった。別に、毎日味の感想を言っているわけではないが、それでも申し訳ない気持ちになる。
琥珀は落ち着かない自分を気遣ってくれているというのに、自分ときたら―――
「ごめんなさいね、琥珀。心配かけさせて」
「いえいえ……仕方が無いですよ。だって、志貴さんが帰ってくるんですから」
「…………そうね」
「秋葉様、ちゃんと志貴さんと逢うんですよ」
まるで幼子に言い聞かせる母親みたいに、琥珀。
「何よ、その釘の指し方」
秋葉と志貴との再会の物語。秋葉の心情が良いです。西奏亭への頂き物。