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二月十四日夜の出来事
(4529)
(04-02-14 18:48)
「そんな手の込んだもの作らなくてもいいのに」
「それだけ、志貴さんへの想いが深いんです」
「うん、まあ、嬉しいけどさ。
それにしても、お腹すいたな」
照れ隠しのようだが、それはそれで事実だった。
帰って来てから、志貴は何も口にしていない。
「ふふふ。でも、食べないんですよねー。
秋葉さまが一生懸命やっているから、待っているんですよねー。
らぶらぶですねー」
「……」
「あら、志貴さん、お顔が……」
バレンタインデーSS三つ目です。
志貴と琥珀二人の会話。
秋葉SSなんですが、秋葉が……。
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二月十四日昼の出来事
(5995)
(04-02-14 18:45)
それを見て、既に答えは不要となったのだろう。鮮花の返答を待たずに、橙
子は次なる導火線に火をつけた。それも、複数に枝分かれする線に。
「式はもう、黒桐に渡したぞ」
「えッ」
「なッ」
鮮花だけでなく、ソファーの方からも、絶句したような声が聞こえた。
我関せずとソファーに寝そべっていた式が身を起こす。
唐突に名前を出されたと言うだけでなく、珍しくも、動揺や狼狽の色が浮か
んでいる。
鮮花もまた、驚愕の表情で、固まっている。
それを楽しそうに眺める橙子。
バレンタインデーSS二つ目です。
幹也を除く三人でぐだぐだやっているだけですが、一応、鮮花主役。
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二月十四日朝の出来事
(7776)
(04-02-14 18:41)
「あ、そうなんだ。
ふんふん、衛宮士郎くんは、遠坂凛さんのチョコレートを期待して待ってい
たと。そーいう訳なのね」
「そうだよ、悪いか」
軽く睨む。
遠坂は平気な顔。
優位に立った表情。
ただ、それが嫌味でなく、嬉しそうな笑顔で、それが魅力的に見えるのは、
惚れた弱みなんだろうなあ。
ふっといじめっ子モードになりかけた遠坂が、表情を落ち着かせる。
同じ笑みでもずっと穏やか。
バレンタインデーSSです。
凛と士郎の他愛の無い朝のやり取り一幕物ですが、実質、初「Fate」SSだったりします。
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バレンタインもの
(9340)
(04-02-14 18:37)
厨房には何やらボールや金属の型入れ、へらなどが散乱してあり、その至る
所から、微香をくすぐる匂いが鼻腔を緩やかに刺激する。
散らばった道具、むせ返ると表現してもよい匂い。
それだけで、そこは戦場であったと彼女は確信する。
時代や様相、規模などは違えど、その本質は何かが戦った跡――あの茜色の
荒野に近い感慨を感じさせていた。
「……ふむ」
とりあえず、一つ頷く。
やはり考えることは自分と同じであったか、と彼女は納得。
西奏亭に頂きましたバレンタインデーSSです。
凛グッド後ではありますが、士郎×セイバー派のお方の作品故に……。
お楽しみください。
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降り注ぐ喜びに
(5013)
(04-02-09 00:37)
世界で二人だけになる事。
手を伸ばせば届く範囲だけで世界の全てが構築される事。
本来は似ているようでまったく違う事だった。
でも、今の志貴と秋葉にとっては自分達以外の全ては無意味となっていたし、
乱れるシーツの海だけが無限の広がりを持っていた。
志貴の中で秋葉以外の存在は、すっかり消え去っていた。
秋葉は志貴への感覚だけで、なにもかも満たされていた。
秋葉と志貴のお話です。
延々と、水音がしているような……。
かなり長いのと(70K程ですが)、内容が内容なので、頑張ってお読みください。
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責任重大な
(7759)
(04-01-30 00:16)
……取りあえず起きよう。それから……
「いてっ!」
俺は手に何かをぶつけて引っ込めた。伸びをしようとして伸ばした手がびし
ゃっとぶつかって……
え?と言うことはだれかがベッドの中にいるの?誰?アルクェイド?シエル
先輩?……というか、回りに見覚えがないのはそりゃ、アルクェイドや先輩の
家なら当然のことだから、何をそそっかしく暴れているんだか、俺。
目覚めた処で志貴の見たものは……。
阿羅本さんより西奏亭100万ヒット記念に頂きました。
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慕姉弟記宇受売章
(5225)
(04-01-24 00:36)
ごく自然に唇の端がクスリと、笑みの形に吊り上がった。
軽やかに舞い続けながらそっと胸元に手をやり、シャツのボタンを一つはず
す。
襟元から覗く肌の白さが、面積を増す。
思ったとおりに視線が胸元に集中するのが分かる。
―― ああ、とても、心地よい。ゾクゾクするほどに。
ゆるやかに、しなやかに有間の目の前で踊り続ける。
その眼があたしを捕らえて離さない。
西奏亭の100万ヒット記念に権兵衛党さんから頂きました。
乾家での一子と志貴。アルコールの力が、二人の顕在化していなか
った姿を露わにしていき……。悶絶させられました。
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Near/Miss
(2124)
(04-01-24 00:29)
適当に引っ掴むと、俺はイチゴさんのいる居間まで戻った。お茶ではまだ温ま
らないのか、寒そうに時折身震いをしている。
「はい、どうぞ。風邪引きますよ、着替えてきたらどうです?」
「今朝洗濯したばっかりだ。まだ乾いてない」
それは流石にどうしようもない。俺は黙ってタオルを手渡した。そうして席
に着こうとしたのだが、イチゴさんはそれを軽い調子で止めた。
「んー、そうだな、ついでだ。有間、髪の毛も拭いてくれないか。あたしは黙
って、お茶で温まってるから」
西奏亭の100万ヒット記念に秋月さんより頂きました。
雨の日の乾家での束の間の情景。志貴と一子の微妙な関係を見事に
描かれておられます。
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風邪に見舞えば
(3857)
(04-01-20 02:27)
「……どういうつもりだ、有間」
「風邪って人にウツすと治りが早いんですよ、イチゴさん」
怪訝な私の詰問にそう応じる有間。私は一つ溜め息をついた。
「今日はダルくて難しいコトを言われても考えられないんだ。クスリを飲んで
ゆっくり寝るよ、さあ」
そう言って再度手を伸ばすが、やはり有間は薬を渡す気はないらしい。
「……」
無言で見据える私を見ながら有間はベッドに片膝を付けた。
風邪に倒れた一子、訪ねて来た志貴。
西奏亭100万ヒット記念に利一さんより頂きました。
濃密です、凄いです。堪能しましょう。
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聖母の笑顔
(2884)
(04-01-20 02:24)
「有間。あたしに似合わない職業って何だと思う?」
ある日突然、本当に唐突に一子さんは俺に質問を投げかけてきた。
無人の乾家、そのリビングでのんびりしていたら、帰ってきたらしい一子さ
んがドアを開けるなりいきなりの質問。
確かに今まで有彦と『一子さんの職業って何だろう』ってあれこれ論じた事
があるけど、それを知って気を悪くしたのだろうか。
「?」
だが、そう言われてみると意外と難しい質問だった。
そして、志貴が選んだ職業は?
白と黒との一子さんの姿は?
西奏亭100万ヒット記念に古守久万さんより頂きました。
一子さんの素敵姿を堪能ください。
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冷たい瞳と――
(3033)
(04-01-18 00:17)
「――なんだ。有間、いたのか?」
水を飲もうとキッチンにいくと、そこに有間がいた。
いつものぼぉっとした感じの曖昧な笑み。黒縁眼鏡がさらに人当たりの良さを醸し出している。しかしその奥の瞳はいやに冷たい。
優しい輝きを湛えた冷酷な瞳。矛盾していたが、有間の瞳はそう表現するしかなかった。
西奏亭100万HITのお祝いに頂きました。
一子さんです。一子さん視点でのやりとり、心情、行為。
実に艶やかで、引き込まれます。年上好きならずともぜひ堪能下さい。
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昏い意識の底で
(7049)
(04-01-15 01:39)
「こんにちは、シオン」
驚いた様子も無く、シオンは目の前の人物を見つめる。
細い身体つきの女性。
ベレーに編んだ髪。
紫を基調とする服。
ニーソックス。
腕には独特の腕輪、おそらくはエーテライトが納められている。
「今度は私自身に責められるのですか。ある意味、理にかなっていますね」
独り言めいた言葉。
それに対し、現れたシオンは頷く。
某お祭りに参加した時の作品ですが、100万HIT記念で掲載しました。
シオンを責める為に表れたシオン。
そして無数の蠢く……。
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着替えてください
(5960)
(04-01-11 00:20)
一糸纏わぬ姿だった愛しい恋人である翡翠が、元のメイドの翡翠になるのを
どこか考え込むように見つめる。
そして、呟いた。
「もしかしたら、それが原因かもしれないね」
「はい?」
「メイド服がさ」
「……これが、何か?」
自分の服を見下ろしながら、翡翠は小首をかしげる。
そんな仕草が志貴には可愛く映るが、とりあえずそれは置いておいて言葉を
続ける。
西奏亭100万ヒット記念で、「猫vs馬」さんの同人誌に寄稿した作品を、
許可を得て再掲載しました。
……コスプレ翡翠?
「ちょっ、志貴っ。突然、早くしないでってば」
「遅れてもしらないぞ」
向かう先は、三咲町からは少し離れた地方にある寺社であり、そ
こで新年を迎えようと二人で出かけているのであった。もっとも、
二人だけなのは道中のみで、向こうにはすでに秋葉らが待機してい
ると聞く。
秘密にしていたはずなのに抜け目が無い。志貴はそう思っている
ようだったが、実際には彼の嘘が彼女らにとって嘘と思えないくら
いにお粗末なものだったにすぎない、そんな事実。
と言う事で、10=8 01さんから頂いたお正月らしい作品です。
志貴達が出会う、ちょっと異質な二人組、そして思いがけぬ展開。
お楽しみください。
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宴の前に
(1156)
(03-12-24 01:35)
「なんで、私が買い物に行かねばならなかったのです?」
「俺一人じゃ、幾らなんでも無理だし」
「それはわかりますが、何も考えずに私を指名したのは何故です」
「まあ、兄さんなりに考えての提案だもの、聞かない訳にはいかないわ」
文句ありげな言葉ではあったが、声の感じ自体は柔らかい。
何か思い出している眼。
志貴との先日の会話を思い出しているのだろうと琥珀は推測する。
「……どうですかね。少なくとも全然わたしに泥が引っ掛かる事なんか気にし
ていなかったでしょう」
「でもシエル、全部避けたじゃない」
クリスマスSSです。
準備に勤しむ面々の姿を描いております。
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天抜き/?/!
(1658)
(03-12-15 00:23)
世界一短い「天抜き」50編です。
どのくらい短いかは、中身をご参照ください。
参加者:秋月 修二さん、のちさん、Syunsukeさん、古守久万さん
MARさん、倦怠感さん、しにを です。
まず最初に、「マリみて」キャラは出て来ません。
じゃあ何故「マリみて」かと言いますと、中のタイトルに「黄薔薇革命」とか「いとしき歳月」とかの副題を用いているからです。全て。
元ネタを知らなくても支障ないですが、知ってるとより面白いのは確かです。
大崎瑞香さんが、自サイトの掲示板や日記で書かれているものをまとめさせて貰いました。他、須啓さん、しにをも少し書いています。
Syunsukeさんからの頂き物の連作天抜きです。
いろんな女性向の小道具を題材に、志貴と秋葉の甘やかな様子を描いています。
全27編をお楽しみ下さい。
おまけを追加。ASHさんの漫画ともリンク貼っています。可愛いです。
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休日
(14129)
(03-11-20 01:01)
「信じられないな、と思ってさ。
凛とこうしているなんてさ」
「あ……」
こうして、と言う部分を僅かに強調する。
いろんな意味を込めて、凛にいろいろと思い出させるように。
じっと反応を待つ。
こんな時の凛の反応は二つ。
照れを隠すように怒るか、恥ずかしがる姿を見せるか。
今回はどうだろう。間近にあった凛の顔を見つめる。
凛はぱっと顔を赤くしてしまう。
少し俯き加減。
体験版の出る遥か前、03/7月に書いたものです。
従いまして、かなり……アレな出来である事をご承知ください。
とりあえず、まだ「Fate」で18禁のを登録された方がいないので、縁起物と言う事で。
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刺激が、欲しい。
(5221)
(03-11-16 00:16)
そんな志貴の手を、秋葉は至って自然に掴むと
「行きましょう、兄さん?」
そう、にっこりと笑いかけた。
「? ……ああ、行こうか、秋葉」
久しぶりの事だったので一瞬意味がわからず、反応が遅れていた志貴だった
が、その言葉の意味を理解したらしく、すぐその顔に不敵な笑みが浮かびあが
った。
それは、普段なら秘密を共有するという、周りを欺いている愉悦であったり、
秋葉がまた求めてきてくれている満足感であったり。
しかし今回は、遂に来たか、という期待感によるものであった。
ミスヒテンさんから西奏亭への頂き物です。
学校での志貴と秋葉による禁断の行為。そしてそこにさらに……。
圧倒的な筆力で、長さを感じさせず読み進むことでしょう。凄いですよ。
特に何をするでもなく、空を仰ぎ眺める。
普段は当たり前すぎて気がつかないが、意識してみると驚くほどに心奪われ
る蒼。
風の証か、帯を引いていた雲がゆっくりとだが流れてゆく。
何となく吐息。
僅かに漏れた息は、周囲の喧騒に飲み込まれていくように掻き消される。吐
息を飲み込んだ喧騒は、煩いというよりもどこか高揚しているような熱気を感
じさせた。
まあ、学園祭だしね。
さる大学の学園祭でのバンドのライブへ出かける蒼香。
待ち人来たらずの間に、背中越しに会話をした相手は……。
10=8 01さんより、西奏亭への寄贈SSです。
■
アナタノトコロ
(4649)
(03-11-06 00:34)
ステンドグラスを通して、色鮮やかな光が降り注いでいる。
赤。青。緑。黄。
それは祝福の色だ。
不道徳ですら喜びに変える、この秘め事を祝福する光。
そうして私は、この礼拝堂で先輩の口付けを浴びる。
目を閉じることもなく、ただ待ち受ける。
唇が近づく。眉を小さく啄ばんで、視界を遮るみたいに、今度は瞼。
「ん……見えなく、なっちゃいます」
「大丈夫、ちゃんといるから……」
先坂 透さんから西奏亭に頂きました「空の境界」より幹也×ふじのんなお話です。
礼拝堂での二人の秘め事を、圧倒的な文章力で描いています。
「はい。私の体を、いえ私の元の体を作って貰う……ですよね?」
「疑問形で言われても困るのだがね。まあ、あまり常人には縁の無い領域の事
だからな、むしろ当事者ゆえに信じがたいのだろうと解釈しておこうか。
遠野志姫くん、きみはさる事故で元の体を破損した。情け容赦なく、徹底的
にね。本来ならば、問答無用で棺桶に入っている筈だ。
しかし奇跡の領域に近い幸運によって、助かった。少なくとも生き延びた」
いったん橙子は口を閉ざし、ただでさえ目付きの悪い目を鋭くして志姫をじ
っと見つめた。射抜くが如き瞳。
居たたまれない気持ちで志姫が何か言葉を口にしようかとした時、橙子の視
線は僅かに志姫から外れて上を向いた。
ショタ志貴モノ+性別反転の志姫モノというほとんどオリジナルに近いお話。
旧作改変企画にお題を頂いて書いてみたものです。許容力ある方のみどうぞ。
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酔花酔夢
(4336)
(03-10-03 00:12)
「どうかしたのかな、お姫様は?」
「――――!」
ああ、お姫様とはっ!
そんなの夢だとしても恥ずかしい。
私の怜悧な部分が嘲い、赤面させる。
けれど何と甘美な響きだろう。
感激が、何もかも洗い流してくれた。
兄さんとただ一人対になるのはお姫様である私だけ。
硝子の靴など必要もない運命の二人。
クラザメさんより西奏亭の二周年記念として頂きました。
とろとろに蕩けそうな志貴と秋葉の甘いお話です。
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ICE式
(7394)
(03-09-26 00:16)
僕はその未来像に内心ウキウキしながらも、一応確認のために質問する
ことにした。
ま、もう二人の中なら聞くまでのこともないんだけど、
「しょうがない今日は泊まるよ、でもね、式。」
うん?と視線を向ける式に、僕は真顔で提案した。
「泊まるってことは、今夜は心ゆくまで式を味わっていいってことだよね?」
冷たく甘いハー○ンダッツのストロベリーにまつわるお話。
40%の60Lさんより西奏亭への頂き物です。