□ 涯へ至る道 (1412) (05-03-03 22:55)
衛宮切嗣。
その苦悩と迷妄。
久しぶりの新作です。
(以下、本文より)
望んだものはなんだったのかと思えば思うたび、笑ってしまうほどに下らぬ答えしか導き出せぬ。それは平和。それは正義。この上もなく美しい、光彩眩い尊き祈り。
聖杯は壊れた。全てを黒く染め上げる泥濘をはらわたに流し込んだ呪いの匣は、剣の騎士による聖剣の一撃を以って、原型を留めることなく粉砕された。粉雪のように火の粉の舞う、醜悪極まるこの世の地獄におけるその顛末を、この身に背負おうと、あのとき誓ったのだ。浄化の炎。贖罪の炎。たとえばそれが真実だとして、果たしてそれに値する業を人間は犯してきたのだろうか。