■ 雪月花 (1887) (09-07-19 11:25)
「あ」
と言う声にふと振り返れば、そこにいるのは見知った顔だった。
「あれー、どうしたの桜ちゃん」
言いながら、隣へと並んでくる。
────深々と底冷えする空に一つ、白い月が薄淡く光る夜。風はささやかに揺らいで草をざわつかせている。
心地よいその音に半ば身を委ねつつ、間桐桜はほんの少し、小さく微笑んで見せた。
「いえ、藤村先生こそ」
士郎がいなくなってから数年後の世界で、桜と大河は、ふとした偶然で再会していた。
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